ビタミン剤
第13章 ぼくのペット
「さあ、潤。先にカイザーに晩飯あげなよ。
あ、今晩は飯の支度俺だっけ?」
「…うん…」
その先を望んでた俺の身体と気持ちとは相反して、かるめのキスをして身体を放し優しく微笑んでくる翔さんはカイザーの食事のことを考えていた。
俺の中ではまったく考えていなかった
のろのろと立ち上がって衣服を整えながら買ってきたふくろから仔犬用の缶詰めをとりだして皿へ盛ってやりゲージの中へ置く。
そのゲージの前でへたり込むように座り込んで
両腕で自分の身体を抱きしめるようとするのは
まだおさまらないこの熱をどうにか逃したいと
思ってるから。
このあさましさを翔さんに知られたくなくて
「潤、俺なんか買ってこようか?
それとも飯食いに出かける?あ、こいつがいるから出かけるのはちょっとマズイか。」
がつがつ美味そうにエサを食べる姿。
水の皿もいれてやるとぴちゃぴちゃ音をたてて
上手に飲んでる。
「ううん…今夜は、俺が支度する。
冷蔵庫にステーキ肉あるし…それ焼かなきゃ。」
「いいの、潤。やったね、ニークっ、肉!!」
ステーキ肉に無邪気に喜ぶ翔さん
「パスタか、パンどっちがいい?」
「うーん肉だけでいいかな。」
「珍しいね、翔さん
晩飯しっかり食べたい人なのに。」
立ち上がる俺の手を掴んでくれて抱き寄せながら、子供っぽく晩飯のリクエストをしてきたりする。
「だって、まだ潤のこと食べてないし。
今夜は潤をメインディッシュにしたいしね。
あ、味付けは塩胡椒がいいな、ニンニクスライス多めがいいな。MNJの為にスタミナをつけないと。」
「なにそれ、MNJって?」
「あ、ミッドナイト潤。
真夜中に潤とエッチすることだよん」
「ばっバーカ。」
翔さんとのくだらな会話につられてやっと自然な
笑顔がこぼれた。