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ビタミン剤

第18章 宵待ち草




バカ翔っっ!
さっさと帰って来やがれ!!


思わず声に出るひとりごとの悪態。
意外なくらいおっきな声だったから、まるで潤くんみたいじゃんって思ってしまう。


どうせ眠れない夜になるなら、


今夜だけ…
この部屋中を櫻井翔でいっぱいにしてしまおう。

どうせ頭から離れないなら、どうしたって忘れられっこないなら
画面の中の恋しくてたまらない櫻井翔に
どこまでもずぶずぶに溺れてしまうのもありかもしれない。



だってここにいないんだから



叫んだって
喚いたって
今夜ここには現れはしない。

だったら
おもいっきり泣き叫んだってかまわないかも
さみしくてせつなくて
わんわんわんわん泣いて泣いて泣いて
きっと明日の朝は目が腫れてる状態。

だけど明後日の翔ちゃんが帰宅する頃には
いつものように涼しい顔で出迎えれるようにしときたい。



いいよね、翔ちゃん

独りきりには慣れてた筈なのに
翔ちゃんと一緒に暮らし始めてから
独りぼっちがどうしようもないくらいせつない

ぽっかりと空いた心の穴は
きっと翔ちゃんに開けられたおおきな穴。
はやく帰って来て塞いでくれなきゃ
どんどん広がっていっちゃうから。



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