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ビタミン剤

第18章 宵待ち草


「翔…ちゃん…」


ボリュームを上げると、画面の中の翔ちゃんの声が
俺の名前を大きな声で呼んでる。


もしここに、俺の傍にいてくれたら

きっと背後から抱き締めてくれたり、隣にいたら抱き締めてくれて首筋から肩口に翔ちゃんの唇が触れてきたりするんだろうな。



それから?

報道番組ではあんなに真面目でクールな表情で淡々と分かりやすくニュースを伝えるくせに
この部屋だとすぐに不純な指使いで俺のだるんだるんなシャツの隙間から手を忍び込ませて
いたづらな表情で見つめてくるんだから


ぁ…ふ、…しょ…ぅ


翔ちゃんの指は俺の胸にある敏感な部分をすぐに見つけて探り当ててくる。
平坦な胸のちいさな突起を的確に的を得た仕草で擽り始めてくるんだ。
すり潰したり、つまんだり、それはそれは巧みな仕草で。

それから
翔ちゃんの親指は?人差し指は?てのひらは?
どんな風に性感帯へと仕上げられていったの?


本音ではもっと触れてほしいくせに
いつも
身ぶるいしながら呼吸を乱して翔ちゃんの指から逃れるふりをするのは…誰だった?

素直になれない心を無視するように身体のほうが先にとろけ始めるのが恥ずかしくて。
翔ちゃんはそんな俺を見逃してはくれない。
囁かれる優しい言葉は羞恥を煽って、頑なな心の鍵をこじ開けてしまう。



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