ビタミン剤
第18章 宵待ち草
Sside
おだやかな気持ちでなるべく普通に優しい口調で腕の中のかずに話しをはじめた。
俺が体験した非日常な内容。
正直な気持ち、
現地でジャーナリスト魂をだして現場の報道とかしたかったんだ。
けどマネージャーがリオに取材に来る時に事務所からの命令されてたこと
万が一テロ騒ぎが起こった場合は即退散出国する命令が出てましたって激しい口調で言うから少し悔しかったけどそれに従うことにした。
それからは、もうバタバタだった。
アメリカ経由じゃなかったし、臨時便を乗り継いで乗り継いで。
だからあんな時間に帰って来ることになった。
「かずに、余計な心配かけたくなかったし。
だから、声よりも顔を見せたかった。」
とにかく顔を見せて安心させたかったと告げたんだけど、かずには納得がいかないみたい。
かずからしばらく言葉が出なかったから、
チュッてくちびるを奪っておはようのキスぅーなんて冗談っぽし言うと
ようやく反応して
眉をひそめながら激しい口調で怒りを露わにする。
「テロ?爆破ってなによ、それ?!
翔ちゃんはジャーナリストじゃないでしょ
一目散に帰って来るのが当たり前でしょうがっっ
あなたはアイドルだよ俺たち嵐のメンバーなの!
報道記者とかじゃないんだから、
現場リポートとかふざけた事や
危ないことなんて考えないでよッッ!!」
「うん、そうだよね
やっぱり怒られるよね
メンバーにもかずにも心配かけるのは良くない
って思ったよ。
だから、俺も帰ることにしたんだ」
「……ばかぁ…」
堪え切れずに涙腺がきれてかずの頬をつたって落ちる涙。ぬぐってもぬぐっても溢れだすから
ごめんねってつよく抱きしめてあげる。
「東京の夜景が見えたとき無事に帰って来れてマジで良かったって思った。かずのところに帰って来れたってすっごく実感出来たから。」
「…翔ちゃん…」
「かず、ただいま…」