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ビタミン剤

第19章 ニンカツ

Aside

湯気の中、振り向くニノちゃんは妖艶な笑みを
浮かべながら喜ばせてくれる台詞と、すぐに
突き落としにかかる残酷な台詞を口にする。


「俺とまーくんの子供ならかわいいだろうね。
まーくんの分身がいっーぱい誕生したら子育てで 忙しくてまーくんの相手なんてしてらんないや。
雅紀パパさん
もっともっと忙しくハードに働いて、ガツガツ
しっかり稼いでもらわないとね。」




だれかウソだと言ってくれ。

ニノちゃんが具現化させる夢は俺の描いてる
あまーい夢とは大きくかけ離れてて、

超シビアで超現実的で超イヤ過ぎるヤツ。


「うわーん、ごめんなさいっっ!
変な考え起こしたりして。
やっぱり妊娠とかナシナシ、子供ばっか相手して
俺のことかまってくれないなんて
絶対ヤダ!
俺だけ相手してくれる俺だけのニノちゃんで
ないとさみしいよぉーせつないよぉー」


「さてとさっさと出てもう寝ようっと。
妊娠中はやたら眠くなるとかっていうしね。
お馬鹿なアイバカさん相手にしてたら
こっちが疲れますから。」

シャワーで身体を流してすっきりした顔で
振り返ると、コックを水に切り替えて俺めがけて
勢いのある水流を浴びせかけてきた。

大笑いしてから
浴室を後にしたニノちゃんに放置されてしまった。

取り残されのは惨め過ぎるずぶ濡れ泡まみれの俺。

その夜自分の愚かしい思考をふかくふかく
反省しながら悶々と眠れない夜を過ごす羽目になった。


ニノが許してくれたのは
翌朝の俺の目の下のクマとやつれ具合を見て
大いに笑い飛ばした後、
キスではじまったおはようの挨拶の後。


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