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ビタミン剤

第20章 ウブじゃないアナタ


もう何年も付き合ってるし、
むつまじい恋人同士の俺らの関係がこの先
揺ぐことなんてないって思っているけど
それはあくまで俺の中だけの気持ち。


暴走しがちで、歪みがちな俺の愛情は
時折、翔くんを独り占めしたい
俺だけのモノにして閉じ込めたい
もしも、しなやかな両手足を奪ったら
翔くんは俺だけのものになる?

そんなマイナスの熱量になるほどのもの。

けど、そんな仄暗い激情はきっと翔くんには
理解不能だし伝えて脅えさせるとかも嫌だから。



「ふはっ
ドラえもんって、潤好きだったもんね。」


「でしょ。
俺がのび太になってなんでも願いを
叶えてもらうんだ。」

「潤だと、男前過ぎるのび太くんだね。
しずかちゃんだけじゃなくて、たくさんの
女の子にモテモテなのび太くんになっちゃうね。」


「そうかな?でも、そうなったら俺は
しずかちゃんじゃなくて、
出来杉くん役の翔くんに恋して結ばれるように
ドラえもんにお願いするな。」

「俺が、出来杉くん?
よかったぁ、ドラえもんじゃないんだ。」

「さすがにドラえもんとはエッチできないしね?」

「もう、…潤のスケベッ」


俺の性欲の対象は翔くんだけだよ

ピアスの名残りを残す左耳の鼓膜に捧げる告白。

ほころび始めた花が満開になって色付いてくれる。

俺だけのきれいな真っ赤な一輪の花


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