ビタミン剤
第20章 ウブじゃないアナタ
勝手だけど、自分の抱えてる気持ちを
吐き出してみたくなった。
「俺さ、不安で不安でたまらないんだ。」
「不安?なにが?」
「たとえばだよ、
俺よりカッコ良い奴が現れて、翔くんに告白
したりして、そっちに行ったりしないかって
翔くんが…俺以外の誰かを好きになったり
しないかなぁって」
上半身を起こして
俺の頭をやさしい撫でてくれる
愛おしむ視線は真っ直ぐに俺を見てくれてて
「それって潤じゃない人でしょ。
好きになんてならないし興味もないよ。」
「けど、俺、頑固だし、譲らないし
この先翔くんとケンカとかして
俺のこと嫌いになったり
もっと大人で優しい人とか…」
クスっと笑う翔くん
「俺が潤以外を好きに?
なんで、好きになる必要があるの?」
「例えば俺がヘマやからして
万が一同じステージ立てなくなったりしたら
翔くんにふさわしい人が現れて告白するとか」
「潤の言ってること意味わかんないし
言ってることも理解不能」
大きな眸が覗き込むようにして見てくるんだ。
「たとえばだよ?
芸能人の松潤じゃなくなって
なんにもなくなった松本潤になったりして
何処にでもいる一般人みたいになり下がったら
そんなの翔くんにふさわしくないし」
けっこうな力加減のゲンコツが飛んできた。