ビタミン剤
第25章 a mole tunnel
「斗真、さっきの…あれなんだったの?
翔くんとなに話してたの?」
翔くんの車が走り去った方向をずっと眺めてる
潤からの疑問に
へらへらとした軽い口調で答える。
「じゃっじぁーん
ヘヘヘェーッ、カンパ貰っちゃった
さっすが翔くんだよねぇ
太っ腹なんだぜ、なんとっ五万も!」
「そっか
けど、なんか、さっき2人で話しこんでたじゃん」
歩きながら
さっきの様子を頻りに気にする潤
俺に向かって顔まで覗き込むようにしてくる。
「さっき?
ああ、翔くんからね、
カンパ出す代わりに命令されちゃった」
「命令?」
怪訝そうな表情をしながら見てくることへの
優越感
但し、表情は親友がよく知ってる
無邪気なまんまの笑顔を貼り付けながら
「そっ、ひっでえ命令だよ
潤のことちゃんと自宅まで送り届けろって。
あんま飲ませるな、だってさ。
潤はいっつも優しくしてもらってイイよなぁ〜」
「そっかぁ、そうなんだ…
翔くん…斗真にそんな事言ってくれたんだ
お、俺だけじゃなくて
メンバーみんなに…優しい人だからさ」
「へえーイイよなぁ
嵐ってマジでみんな仲良イイよなぁ」
「うん…そう
みんな…仲が良いから…」
みるみる頬が染まっていく潤の歯切れの
悪い独り言。
ぐっと奥歯を噛みしめてから
肩を組んで
潤を急かすようにして店に入っていった。