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ビタミン剤

第5章 夏まつり




御機嫌斜めのニノの命令で
慌ただしく掃除、洗濯、
もちろん寝室の窓は全開にして
風を通して新しいデュフューザー
を置いておく。
汗びっしょりになり、シャワーでも
浴びようかなと
シャツを脱ぐと肩口に今朝の
情事の痕跡。

剥れ顔のニノの前にある
氷が溶けきったアイスコーヒーの
グラスを手に取り
新しい氷を入れてお代わりを
作って置いてあげる。



「ありがと。
ほら、翔ちゃんさっさと服着る。」


「うん、汗かいたしシャワー
しようかなぁって。」


「さっさと行ってきなさいよ
舞ちゃん来るんでしょ!」


「まだまだじゃね?」

「なんでもいいから服着ろ、服。」



口調はキツめだけど、伏し目がちに
耳が色付いてるのは素直じゃない証拠。

だって肩口の噛痕と、二の腕の
引っ掻き傷は
さっき激しく愛し合った証しだから。

恥ずかしがり屋のニノには
目の当たりにできないんだろうね。


シャワー前についでに筋トレを
始めたら、
ニノは俺を無視するかのように
ゲームの世界に行っちゃった。

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