ビタミン剤
第27章 春夏秋冬
「ごめんね、疲れてる潤に夕飯の
支度ぜんぶさせちゃって
俺のほうが年上なのに、ちっとも
しっかりしてないし、段取り悪くて…」
「そんな事気にしてたんだ?
料理好きだし、ちっとも疲れてないよ
それより捜し物は見つかったの?」
「ううん、なかった。」
「そっか、なに捜してたの?」
「えっと、パジャマの2番目のボタン
洗濯してたやつのがとれちゃってて
潤とお揃いのやつ
せっかく気に入ってたのに」
クスクス笑い出す潤。
箸を置いてイスから立ち上がってテレビボードの
棚に置いてある
潤の大切な物入れの箱を持ってきた。
「ごめん、見つからなかったでしょ」
そこにはあのパジャマのボタンに
いくつかの他のボタンも入ってあった。
「なんで?
ボタン外したの潤だったの!」
すっごく焦ったんだから
部屋中、ベランダだって探し回ったんだからっ!
すこし強い口調で言い募ると
すき焼きの火を止めて蓋をしてから
俺を立ち上がせて抱きしめてきた。