ビタミン剤
第30章 ムテキのヒーロー
「…なんで?
俺…ずっと、ずっと憧れてた…の」
きっと、まだ子どもらしいままだった頃に
1番好きだったヒーロー
大好きだったそのヒーローのキメポーズを
して見せると
立ち上がって喜んでくれる。
「……チェンジペガサスでしょ?」
左手を腰、右手でピースサインをして見せながら
おもいっきり首を横に振る。
「え?……違うの?」
右胸のローマ字数字と
右手のピースサインを何度も差し出すと
ようやく言ってもらいたい名前が
翔ちゃんの口から出てきた。
「もしかして…?
…チェンジ…ペガサス…2?」
「その通り!
おいらはチェンジペガサス2!!」
ここでようやくの声出しね。
もう一度あのキメポーズをして見せる
飛翔するように真っ直ぐ斜め後ろに
伸ばした腕、掌の指を開いて
ばさばさ羽ばたくような真似をしてみせて
オリジナリティを強調しておいた。