ビタミン剤
第30章 ムテキのヒーロー
「でも、なんで…どうして?」
「翔ちゃんの憧れてた電撃戦隊チェンジマンの
チェンジペガサスは地球を守るヒーローで
ちびっこ達のヒーロー。
おいらのチェンジペガサス2は、
翔ちゃんだけのヒーロー
櫻井翔だけを守る為のヒーローなのだ!!」
地球の平和には全く興味なんてねぇ
全国のちびっこ達なんて知らねぇ
おいらがこの腕で守れるのは翔ちゃんだけ。
泣き笑いする翔ちゃんは顔が涙でぐしゃぐしゃで
両手で涙を拭って顔を隠そうとしたから
ヒーローの両手でそれを抑えつけた。
「ほんとの翔ちゃんは泣き虫だろ?
いっぱい泣いていいんだよ。
おいらが、チェンジペガサス2が
翔ちゃんの涙を拭いてあげるから」
「…ぅう…だって…だって…
ふぇ…グスッ…俺、お兄ちゃんだもん」
「んーにゃ
おいらのほうがにいちゃんだろ?
だから翔ちゃんは泣いていいんだ
我慢なんてすんなっ
なんでも一人ぼっちで耐えようとすんな」
「…でも、…だって…」
「おいらがいるだろ?
もっと甘えて来いや
もっとわがまま言って困らせてみろ」
幼少期のトラウマだかなんだか
知んねえけと、んなもん関係ねぇし
トラだか、ウマだか
ライオンだって、クマだって
翔ちゃんの為ならおいらがこの手で
一撃でぶっ飛ばしてやる!
あ、一応トラとの闘い方の指南は
相葉ちゃんに教えといて貰わなきゃ
「言ってもいいの……?
怒られない…嫌いになったりしない?」
「どーんと来いや!
なんだって受け止めてやるよ!
俺は翔ちゃんだけのヒーローなんだから」