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ビタミン剤

第33章 花浜匙(躑躅色)



「潤くんが好きなのは俺の輪郭だもんね
おやすみ、潤くん。」


ソファで眠り込んで転げ落ちたりしたら
たいへんだからリビングに布団を敷いて今夜は
俺もここで眠ることにする。


彫刻のようなその端正な顔立ちは眠り込むと
すこし幼くなって
あどけない表情にも見えた。

「あは、かわいい寝顔。
ねぇ、潤くんいつか、輪郭だけじゃなくて
俺のこと…好きになってほしいな」


「………………」



クッションを抱き抱えて夢の中にいる寝顔を
いつまでも見ておきたいって思ったけど、
ぐっすり寝かせてあげたいし。
照明を消して横になって寝つくまでゲームでも
しておこうかな。


「…ううっ……んっ……」

しばらくすると寝苦しそうな声がするから、
ゲーム置いて潤くんの様子を見てると


「やっ…待ってよ…行かないで……」


切ない寝言。
夢の中くらい楽しめばいいのに
やっぱソファで寝かせたのが悪かったのかな

抱き抱えてたクッションが転がり落ちてくる。
起こすのは気の毒だけど
用意してるパジャマに着替えさせてお布団で
寝かせてあげることにした。



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