ビタミン剤
第33章 花浜匙(躑躅色)
ジュニア時代、
翔ちゃんの後追いから無理やり卒業するように
ドラマで演じてた太々しい俺様キャラに
自分を寄せるようによせるようにしていって
何時の間にか、大人びたクールさを身に付ける
ようになってた。
けどね、知ってるよ
ずっと見てきたんだから。
翔ちゃんが、リーダーと結ばれた時
こっそりと秘めてた恋心を諦めたこと
落ち込んでた相葉さんとの距離感がどんどん
近づくにつれて
如何にかしてあげたいって気持ちが
もう一度恋心になりかけて
足踏みしてたときも
傍でずっと見てたから
傍観者として
ゲームに没頭するフリしながら
潤くんのことこっそりと観察してたんだ。
「じゃあ、おやすみ潤くん」
布団から出ようとすると、パジャマのシャツを
引っ張るように縋りついてくる。
「やだよ…ひとりにしないで…
夢なんでしょ?なら…一緒に眠って」
だって現実では一人きりだから…
好きになる人はみんな
俺とは別の他の誰かを選んでくんだ
小さなつぶやきは俺の胸の中で消し去る
抱きしめて背中を撫でて
俺が傍にいるよって囁いてあげる。