ビタミン剤
第33章 花浜匙(躑躅色)
これは最後のキスかもしれない
離れ難くて何度も何度も口腔内を味わっていく。
絡まり合う舌から伝わる唾液
それさえ、芳醇に思えて飲み込んで、
更に求めるように舌を絡ませた。
下唇を甘噛みしてから擽るようにくちびるの
ほくろにも舌先で触れる。
「…ん、もっと…もっとキスして…」
「潤くん、かわいい。いっぱいキスしてあげる
だから、もう泣かないで」
その哀しみを消す特効薬になるなら、
いつだって惜しみなくしてあげるよ。
どのくらい触れてたのか分からなかった。
何時の間にか二人とも寝入ってたみたいで
気がつくと
カーテン越しに朝の陽射しが差し込んでる。
目をあけるとすぐ隣りにはぐっすり眠り込む
イケメンの顔。
「かわいい寝顔
あ、笑ってる。いい夢見てるといいな」
手足を折り曲げてくっ付いて眠り込む
潤くんの頬にそっとキスを落とす。
「確か予定は午後からだったよね
もう少し寝かせててあげようかな…」