ビタミン剤
第33章 花浜匙(躑躅色)
シャワー浴びてる間に目覚めてた潤くん。
目が合うとドギマギして
視線が泳ぐから思わず笑えてしまう。
「はよ、潤くん
二日酔いとかはどう?」
「おはよ、うん、大丈夫。
ありがとう、ここってニノんちだよね?」
「そうだよ、帰りたくないって
ニノんちに行くってきかないんだもん」
「そっか、ごめんっ
ほんっと迷惑かけてごめん!」
「シャワー浴びてきなよ。
下着新しいの出すからさ。洋服は昨日の着て帰ってね。」
「あ、う、うんありがと…」
「どう致しまして。
ほら、午後から仕事でしょ。
家帰って支度しなきゃ、車で送ってくからさ」
背中をおして少し強引だけど風呂場へと向かわせた。
夢にすればいい
一夜の夢の中の出来事
それでいいんだ
またさみしくなったり
哀しみが溢れたらその時は
夢の中で出逢ってあげるから
少しの気まずさは
淹れたてのコーヒーの香りが誤魔化してくれて
2人とも昨日の夜のことを言い出すことはしなかった。