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ビタミン剤

第37章 サンクチュアリィ

Sside


准一くんは 約束した通りあまいくちづけで
目覚めさせてくれた。
吐息がかかる程の距離で名前を呼ぶ優しい響き。 真っ白な無意識の淵から引き揚げてくれる
力強い呼び声。


触れ合うくちびるの熱
抱き寄せてくれる腕のぬくもり
まだ夢心地の感覚の中でぼんやりしてると
着いたよって囁かれて
ドアを開けて入り込む冷えた空気に身ぶるいした。



「寒い?」

「ううん、平気、ここどこ?」

「長野だよ。入笠山の近くだ。
ほら前に一緒に登ったろ?あの山よりは
少し離れてるけど、ここからは八ヶ岳や富士山
南アルプスなんかも見えるんだ」


目の前には重厚感を醸し出してる豪華なログハウス風の建物。当然のように階段を上がって扉を開けて中へ入っていくその背中を追いかけて中へ入ると、
俺の荷物も運んでてくれていた。


部屋の中心には螺旋階段、暖炉があって
大きな窓の外にはデッキテラスも見えてる。
木のぬくもりと香りが心地よい空間をつくって
くれている。


「……なにこれ…すっごいゴージャス…」

「知り合いから譲って貰ったんだよ。
北欧出身の人だったから建物と内装にはかなり
こだわって建てたらしい。」

建築にも造詣が深い准一くん
趣味のインテリアも家具の買い付けや工房とか
にも出向いて行ったりもするらしくて
そういった事に無頓着な俺にはとても新鮮で
興味深い話しを語ってくれたりする。

それにしてもホントにこだわりの詰まった
建築デザインに豪華で素敵な内装。

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