ビタミン剤
第38章 愛のある風景
「雅紀のビスケットは?
ちゃんとお気に入りのアレ持って来た?」
「んーストックが無くなってたから…
でも、違うやつもってきたよ」
「ダメダメ、あれは毎日がんばってる雅紀の
ご褒美タイムのお供だろ?ちゃんと買って行こうな。」
「うんっ、ありがとう翔ちゃんっ!!」
癒しの笑みの持ち主は
こっちまで満ち足りた気分にしてくれる微笑みを
見せてくる。
日々の追われるようなハードスケジュールでも
文句や愚痴を言ったりせず、疲れた顔も見せず
いつもそばにいてくれる。
あかるい天然キャラは
夜のほうは天性の色っぽさを魅せてくれて、
逆にこっちのほうが翻弄される事が多い。
隠し事とか駆け引きとかをする必要がない
裏表のないところが雅紀の最大の魅力。
左手をそっと差し出すと
くしゃりと微笑みを深くさせて指と指を絡める
恋人つなぎをしてくる。
「ねぇねぇ翔ちゃん、
俺も釣り始めて海好きになろっかなぁ」
「ダメダメ!雅紀は海なんて好きになんなくっていいの」
「なんでなんで?
美味しいお魚とか魚介類とかいっぱい
お土産で持って帰るよ」
「それでも、ダーメ!
雅紀は動物好き、風呂好き、スイーツ好きだけでいいの。これ以上好きなもん増やされたら
俺のこと好きなの分が目減りするだろ?」