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ビタミン剤

第38章 愛のある風景


海岸線を走らせる車をハザードランプを点けて
道路脇へと停めた。
辺りには民家もなくて対向車も追い抜かしていく車も見当たらない。




「…どしたの?翔ちゃん…」


じっと俺を見つめてくる雅紀を抱き寄せて
そっとくちびるを重ね合わせる。
受け入れてくれる雅紀に覆い被さるようになりながらシートを倒して情熱的なキスにしていく。


水平線と空の色合いが白く曖昧な境界線になっていて、おだやかな波にきらめく太陽の光


その太陽よりも輝いてる恋人が
瞳を潤ませながら甘い響きで俺の名前を呼ぶ。


「翔ちゃん…」

「雅紀、愛してる。
海よりもっと俺のこと好きになれよ。」

「うん、海よりもなによりも
いっちばん翔ちゃんのことが大好きっ!」



なあ、智くん。
釣り上げた大事な大事な恋人にはちゃんと
美味しいエサをあげなきゃ
でないと逃げられちゃうぜ。
勿論、エサだけじゃダメ。

愛の言葉、愛ある態度、愛の営み
しっかり伝えて相手に分かって貰わなきゃ。

雅紀同様、
ニノのことも狙ってるヤツらはかなり多いんだからさ。




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