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ビタミン剤

第38章 愛のある風景


Nside

雲ひとつない真っ青な空
飛行機雲が空に幾何学的な直線を引いていく



早朝からハイテンションだったあのおじさん

新しいルアーを試すんだって
意気込んで出かけていった。
丸めただけの不恰好なおにぎりを3つを渡して
いってらっしゃいのキスして
そこからソファで二度寝した。



今、淹れたてのコーヒーが朝食。


「翔ちゃんと相葉さん
来るんだっけ、何時頃だろ?」


ゆれるレースのカーテン越し
開け放たれた窓から見える景色は真っ青な水平線

太陽と仲良くなることが益々できなくなって
かなしい引きこもりの生態だからかな?
あの日焼け好きなおじさんの眩しさにこんなにも
惹かれてるのは。

身体の節々が悲鳴をあげてる。
腰の甘やかな気怠さも抜けきっていない
テレビをつけると事務所の先輩が朝の帯番組を
爽やかな笑顔で進行してる
すこしだけ会釈して
コーヒーカップを手にした。

なにもしない贅沢な時間
ゲーム機に手を伸ばそうとした瞬間に着信音の邪魔。

「うぇーい、起きてるかぁー
今めっちゃ釣れててさ、ほら見てみーぃ
でっけえの釣ってっから」



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