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ビタミン剤

第6章 ニンニン




「んー新鮮、すっげえ美味い!」


「でしょでしょ。」

しばらく和やかな食事の時間が続き
ビールから日本酒にかわって
お腹の具合も一息ついた頃に、
智くんがぽろりと吐き出した言葉に
敏感に反応したんだ。



「監督さんがね、
作品は本格的な作品にしたいって
言ってるらしくてさ。
アクションはもちろん、殺陣とかも
すっごいこだわりたいんだって。
なんかね、
捕らえられたりしたら、本格的な
拷問シーンとかも荒縄とか
道具とか使ったりするとか。」



「はああ?なにそれ?
智くんのかっこいいアクションだけ
じゃないの?」

「うん
いろいろ盛りだくさんにしたいって
身分違いの恋とかもあったり
忍術だと分身の術?とか、
くノ一変化もあったかな?」


「ちょっ、ちょっとちょっと
待ってよ!なにそれ、ほんと?!」


智くんがラブシーン⁇
智くんが3人、5人増える分身!
智くんがくノ一女装?!!
できれば映画館の全席
買い占めたいんですけど。

いや、ダメだ
んな、こと言ったりしたら
怒られちゃうよなぁ。
大好物の赤貝を頬張ってみても
なんの味もしなくなってた。




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