ビタミン剤
第39章 ノクチルカ
「兄貴、兄貴っ俺、俺ずっと前から
兄貴のことが…好きで好きで、めちゃくちゃ
好きでなんですっ!!」
「おいこら、よせよっ酔っ払いっ
分かったから離せよっ!!」
「嫌です、兄貴っ帰らないで…
俺、本気で兄貴の事が…マジで好きなんだっ!」
ああ、なんて甚だしい勘違い
酔いが回ってるせいの勢いあまっての戯言
押し返そうと胸元を両手で押さえると
抱き竦めてきて強引にくちびるを塞がれる。
顔を背けると首すじを辿るようにくちびるで
触れてきて襟元付近でその動きが止まった。
その隙に身体を跳ね除けて手洗いの水を
おもいっきり顔に浴びせてやって怒鳴りつけた。
「おい、酔っ払い野郎!
てめえ2度とこんなふざけた真似するんじゃねえぞ。今回は見逃してやるけど、2度目はないからな」
「…兄貴っ…まって…その首の痕って…」
「2度目が無いってなんの話かな?」
しずかに開いた扉から聞き慣れた声
びしょびしょに濡れた手のままで佇む潤のもとへと駆け寄っていく。
「探したよ、迎えに来てんのに遅いからさ。
どしたの風磨びしゃびしゃだよ。水遊び中?」
「潤っ……あの、これは…風磨がさ、
酔っ払らってふざけて水かけようとしたから
仕返ししてやったんだ。」
「へぇ、ずいぶん仲が良いね。
さすがは大学の先輩後輩。
俺はてっきり風磨が翔に襲いかかってキスでもしてるのかと思ったけど」
「潤っ!」