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ビタミン剤

第39章 ノクチルカ


「大丈夫、潤ならずっとキラキラしてると思うよ。
いや、どっちかっていえばギラギラかな?」

「ひっでえなぁ」




さっきのホテルでのことを潤に訊ねてみた



「なんで、トイレにいるって分かったの?」

「ん?ああ、圭人だよ。
岡本圭人とメールしてたから。
それになんとなくあいつが行動を起こすなら
今日かなって察してたしね」

潤の手の平で転がされたのは俺も同じだった。

ごめんねって微笑む顔に剥れたように頬を
ふくらませて睨み付けるとそっと頬を撫でてくる

「あいつ俺と同じタイプだからさ。
周りなんか見えなくなって自分の考えだけを強引に押し通して行動するみたいなね。」



ひどくなついてたジュニア時代の潤
櫻井翔くんの1番のファンだと公言するくらい
後先考えずに情熱だけで語ってた言葉を思い出した。

「ああいう奴にははっきりきっぱり言って
切り捨ててやらないと。
情けをかけれは誤解を招いて勘違いして
ますますつけあがるからさ。」

「だったら潤も最初から一緒に来ればよかったのに」

「ダメだよ、ヒーローはヒロインが
ピンチの時に表れる方がかっこいいでしょ」

「はあ?ヒロインじゃねぇし。」

「だね、翔はかっこいい俺のヒーローだよ。」

波打ち際で抱きしめられる腕の中
ダメだよってささやいても聞こえないフリで
くちびるが重なる。

2人だけの世界
幽玄の蒼色の輝きの中で寄り添いながら波の音に
包まれていた。



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