ビタミン剤
第41章 aventureはディナーの前に
「あのね、取材の仕事で近くまで…来たから
少し寄ってみようかなぁって…」
少年みたいないたずらっ子な瞳の笑顔から
2人きりのときみせてくれる恋人のあまい微笑み
に変わってきてる。
「じゃなくて?」
やっぱり、ばればれだよね…
「…………んっと…ね
雅紀に…逢いたかったから…来ちゃった」
「フフ。
俺も翔に逢いたいなぁって考えてたんだ、おいで」
久しぶりの雅紀の腕の中
ぎゅっと抱き寄せてくれる腕の強さが心地良くて
目を瞑ってると、顎を持ち上げられる目を開けると
かっこいい雅紀のアップの顔が目の前に見える。
「翔……キスしていい?」
「…………」
言葉がすべてを伝える方法じゃない
返事なんてしなくても俺の気持ちなんてもう
雅紀には伝わってる筈だから
もう一度目を瞑って
重なり合うぬくもりをくちびるをツンと突き出して
待ち望んだ。
撮影の休憩時間だけど
すこしくらいなら大丈夫だよね