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ビタミン剤

第41章 aventureはディナーの前に



「…ふぅ…ぅえ…まさっ…ぐすっ…雅紀…」



シートに涙が滲んでしみができてしまう。

はやく部屋に帰らなきゃ…
思考だけでめまぐるしく考えてても行動が身体が
伴わないまま

ものすごい睡魔に襲われそうになりながら
熱に浮かされたように
雅紀の名前を何度も呼びつづけた。


カツっカツっカツっ


遠くから駆けつけてきたような足音


ガチャッッ


「…翔っっ!」

荒々しい息遣いで名前を呼ぶ声は
待ち望んでた優しい響き

貴族の姿のままの雅紀がぼんやりと歪んで視界に入ってきた。


「翔……ただいま…帰って来たよ。
ごめんね、一緒にうちに帰ろう。」



抱きしめられて優しくキスをされる。
いますぐここで雅紀と触れ合えるって思って
たのに

「雅紀…っ…」

「翔…ごめん
抱っこして連れて行くからね」

こんな場所でこのひどい醜態を見てがっかりしたのかもしれない。
大きく唾を飲み込んで深呼吸をする雅紀に
脱ぎ捨ててた下着とパンツを履かせてもらって
衣服を整えられると
お姫様抱っこ状態で抱き抱えらたまま部屋まで
連れて行くねって有無を言わさない口調で言われる。



エレベーターの中で雅紀って呼びかけても
黙っててってキツめの声で告げられてしまう。


こんなことして
きっと、怒ってるんだ
こんな淫乱な俺に呆れて腹立ててるんだ


自分の情けなさに
雅紀の肩口をしずかに涙で濡らしてた。


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