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ビタミン剤

第41章 aventureはディナーの前に



「すぐに帰るからっ!
ちゃんと施錠しててよっ!合い鍵は持ってるから」


翔……ごめん、愛してる


電話の向こうで絶頂を迎えようとしてる
さっき楽屋でさせた行為が
あざやかに蘇って下腹部に血流が集まってきた。

温かな翔の口腔内
ねっとりと絡み付いてきて離さないように吸い付かれてた。

ホントは顔中に浴びせたかった。
翔は俺だけのものだってマーキングしたくて、
時間があるのなら
翔を貫いて奥深に潜り込ませて一つに繋がりたかった。

時間、場所、立場

いつの間にか、諸々な事を考えて立ち回れるようになってる自分が嫌で持て余した欲求を
翔への無茶でいじわるなお願い事として口から出てしまった。

優しい翔は困った表情を見せながら
おおきな眸を期待と羞恥で潤ませてくれてた。

清廉な翔が見せる妖艶な表情。
そんな顔が見れるのは恋人の自分だけだと思うと
充足感で満たされていた。


手づくりケーキまで差し入れてくれた
翔の優しさと思いやりを
俺は自分の慾望でグチャグチャにしたんだ。



撮影に入る前
ほんの冗談で手渡したオモチャ
だけど内心、下心が無かったとは言えない。

万が一逢えない淋しさで欲求不満になって
他の誰かの誘いに乗ったりしないかって
自分以外の他のヤツらに
大切な翔を攫われたりしないかって卑下た考えが
あったんだ。


自分の了解の狭さに嫌気がさしてとても情け無く思えてきた。



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