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ビタミン剤

第41章 aventureはディナーの前に



伸ばした雅紀の膝の上に乗っかるように向き合い
ながら湯船浸かってる。
窓越しの朝の光を浴びるのがなんだか気恥ずかしくて雅紀に抱きつくように顔を伏せた。


「雅紀、手えつないで」

「うん、いいよ。」

いつものように指と指をしっかりからめる恋人繋ぎ
ふれるだけのかろやかなキスを繰り返しながら
お互いの名前を呼び合う。


「…雅紀…雅紀っ、…ん…ぁ…雅紀ぃ」

「翔っ…ぁ……翔…ぅ…翔……」



握りしめてる俺の手の甲にもやさしいキスを
落としてくれてる。
昨日の昼間の撮影の時に刺さってた棘みたいな
胸の奥のもやもやした気持ちを訊ねてみた。



「雅紀は…ほんとに俺でいいの?」


「へ?いいのってなにが?」


「だって、たくさんの女優さんやタレントの
女性の方達と知り合えるし、こんなごつくて
骨太な手よりも
女性のきれいで華奢な手にキスするほうが雅紀にはすごく似合ってたから…」


「は?
あれは貴族の役柄だからしてるだけだよ。
俺には翔しか必要ないし、翔にしか興味もない。
性欲だって翔だけにしか湧いてこないよ」


「でも、でもっ!
女性とならいつでも何処ででも人目を気にしないで、手を繋いで歩けるし…キスだって…」


「翔っ!!」


離れされた手
立ち上がった雅紀が湯船のお湯を両手で掬って
頭からばしゃりとおもいっきり浴びせてきた。



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