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ビタミン剤

第43章 オッカムの剃刀


Sside

助手席に乗り込んできた雅紀の頬は少し色付いててそれがやけに可愛く見えてた.。
左に流してる髪型のせいか、運転席側から見ると 横顔から耳許、顎からすっきりと
のびる首すじが見えて
最近どうにも色気を醸し出している風に思える。

ほんわかした空気感は智くんと良く似たものかも
しれないけれど、雅紀が纏うオーラには
最近男の色気がほどよく混じっていて
あの役柄を演じたせいもあったのかもしれない。


難しい役柄でなかなか厳し評価を受けてても
腐ったり落ち込んだ様子も見せずに
凛とした姿勢で挑み切った。

今の雅紀ならきっと
うまく気持ちが伝えられるって励ましてみても、
現状維持のこのままのほうがいいんだって
頑なに伝えようとしない


近過ぎると見えなくなるもの
近過ぎて、それを失ってしまう時の恐怖と後悔



かつての自分も味わったことのある感覚

一歩踏み出してくれたのは智くんからで
俺たちの想いが重なり合ったのも
ひとつになれたのも結構な年月を費やした

まだ雅紀にもメンバーの誰にも俺たち2人の
関係は話しちゃいない。



俺は占い師でもないし、恋愛マスターでもない。
けど、そろそろ雅紀は此の辺で腹を括って
告白するタイミングかもしれない。


「そりゃ雅紀の願望だろ?
おまえもさぁ、いい加減伝えたらどうなんだ?
うじうじ悩んでないで、当たって砕けちまえよっ」


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