テキストサイズ

ビタミン剤

第43章 オッカムの剃刀



Nside

「一緒に死ねる人を探しなさい」


その言葉を耳にしたとき

ざわりとした総毛立つ感覚と
まるで心中を見透かされたかのように
ギクリとした
急所をキツく握られてしまったかのような
逃げ出したくなる感覚を覚えたんだ


その言葉を贈ってくれた人は
もう此の世にはいなくて
惜しまれながら涅槃に旅立っていった。

時代を気付いた偉大な先人


最高のコメディアンでいて、アクターとしても
独特な雰囲気で作品の中で、滲み出る渋さと
いぶし銀の演技力に圧倒された。


心から尊敬できる人だった




必要とされるなら
どんな要望にも応えてきたし
どんな役柄にもなりきってきたつもりだった。

ただ、あまり
恋愛モノに縁がなかったことは
多分俺自身の心が片輪だからなのかも知れない

心のどこかがある部分が、いつも冷めていた。




云われなくても気がついてる

自分の賞味期限なんてとっくに切れてること。
そんな俺がいまだにメディアに出ていられるのは
たぶんメンバー1人1人のたゆまぬ努力のおかげ
があるから。


その中の1人に
もうずいぶん前から囚われていた。




ストーリーメニュー

TOPTOPへ