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ビタミン剤

第43章 オッカムの剃刀


元々本来の彼の人柄の良さが積み重なって
長年続けてきたバラエティーで彼の優しさや
真摯に向き合う姿勢が評価されて、今の番組出演の
本数やCM契約に繋がってるんだろう。

誰より汗を流すことを惜しまない
誰よりもあつい涙を流す情熱を持ってる


いつからだ?
友人として好ましいが好きに侵食されだして
愛おしいに変換されそうになり始めた時

友情以上の関係を望もうとしてることに
気がついた自分自身に吐き気を覚えた。


これは嫉妬だ
どす黒い負の感情

翔さんも相葉さんも等しく大切なのに


寄り添う2人や、楽しそうに微笑み合う2人
それらを視野に捕らえてしまうと
どうにも苦しくなって胸許に爪を掻き立て
ギリギリと搔きむしりたくなる感覚に陥ってしまう。


なにもかも忘れて
思考のすべてを手放して眠りにつこう
度数の強いアルコールが
催眠導入剤の代わりになっていた


せめて
夢のなかだけで
この邪な独占欲を満たせるなら

明日目覚めれなくても構わない


今夜、彼との夢幻の中での逢瀬
素肌をくちびるで辿って
手のひらが記憶するほどに全身に触れたい
長い手足をからめてきてくれるだろうか

都合のいい幻想

「相葉さん…」


夢の中でだけでいい
彼の身体を貪るように触れていたい



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