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ビタミン剤

第43章 オッカムの剃刀


Iside


「翔ちゃん…今夜もまた夢見るかなぁ」


「さあね、考えたってしかたねぇだろ
所詮夢だよ、夢。あんま気にすんなって」


「でも俺、俺っ…
いっぱい夢の中でニノのこと汚してるみたいで
これって…やっぱり
いけないことじゃないのかな?」


「あのなぁ
普段使わねぇ部分とか使って考え過ぎると
また、知恵熱が出て寝込んじまうぞ」


荷物を置いて翔ちゃんにはリビングでくつろいで
もらって、冷蔵庫からビールを取り出して
とりあえず乾杯。


かるい口調で受け答えしてくれる翔ちゃん。
ロクでもないことばっか考えそうになる俺を
しっかり諌めてくれるんだ

でも
恋煩いってヤツは無駄に思考を混乱させるから
かなり厄介。


「ひっどぉ!うん。でもそうだよ!
考えたってしかたがないもんね、飲もっ飲もうっ」


「そうそう。あんま、へんな風に考えてると
まーた魔界の扉が開いちまうぞ
今度こそ扉の中に引きずり込まれちまうぜ」


「やーめーてよぉ翔ちゃんっ!!
たくさん呑んで忘れちゃお」

「そうそう、呑んで忘れるぅー
酔って眠るぅー夢で逢えるぅー
これでいいじゃねぇ?」


笑い合って冗談まじりの会話にしてくれたおかげで
リラックスしながらビールを味わえた。




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