テキストサイズ

ビタミン剤

第43章 オッカムの剃刀


Sside

焼いた山芋の皿を持ってきてからハイペースで
ぐびぐび呑んで呑んで呑みまくって



雅紀は俺がトイレに行って部屋を出てる間に
酔い潰れてソファで寝入ってしまってる。


「あーあ、ベッドに運んでやれねぇつうの。
俺が運ぶのは智くんだけって決まってるし」



毛布くらいかけてやっておくか
手足を縮めてちいさくなって眠りこむ体勢

雅紀に寝室にはいるぞって声をかけて
毛布を取りに行く。

落ち着いたトーンの寝室の壁紙
すっきりした部屋には大きな観葉植物と加湿器。
無駄なものはなかった。


「一応カーテンは閉めててやるか」


重厚な生地のカーテンを閉めて
ベッドの上にあったオリーブグリーン色の
手触りのいい毛布を手にしてリビングへ戻る。


リビングの扉を開けようとすると声が聞こえてきた。




「……ぁ…はぁ…あん…う……ぁんんっ」



夢で魘されてるのか?
それとも目が覚めて起きてるのか?


はっきりと聞こえてくる雅紀の吐息。

もし悪夢に魘されてるのならその様子を
明日にでも雅紀に伝えてやらないといけない。

そっとドアノブを回して細く開けた扉の隙間から
雅紀の様子を覗き見ると


俺の目にあり得ない光景が飛び込んで来た。




ストーリーメニュー

TOPTOPへ