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きみがすき

第2章 *イチ*

*二宮*




大「はい、ではそのように進めていきたいと思います。」
よろしくお願いします。と相手方二人と握手を交わす。
午後の他社での打ち合わせはあっという間にまとまった。
相手方の表情も満足そうだ。


『大野の後ろについて、盗めるものは盗め』

入社当初、係長から言われた言葉だ。


この人の仕事に対する姿勢や、見易い資料もあるだろうが、
何より、大野という人柄だろう。
決して言葉数は多くないが、穏やかな雰囲気、時々みせる、ふにゃっとした人懐こい表情。
かと思えば、スパッと言い切る鋭い目。

何十回と一緒に外回りを組ませてもらって、学ばせてもらっている。


相手方の年上の方が、
「すいません。このあと急ぎの予定がありまして、お先に失礼します。」と部屋を出ていく。
その人に挨拶をして、こちらも帰り支度を始める。

さて、帰ってから課長に報告して…金曜日だし大野さんを飲みに誘ってみよう。今朝のことも気になるし。と考えていた。

「よかったら今日の夜、飲みに行かない?」
ちょうど考えていた内容が目の前から聞こえてフリーズする。
え?何?飲み?と、急な誘いにキョトンしていたら、更に驚く言葉が横から耳に入ってきた。


大「いいね!行こっか♪」

「え!?」と今度は心の声が思わず出てしまった。何?取引先とこんなフランクに飲みに行っても良いの?まずいんじゃ…。
って、何より大野さんタメ口だけど。

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