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きみがすき

第38章 *だいすき*




思ってた。


大ちゃんは、付き合ってからも どこか俺に遠慮していて、本当に本当の言いたいことは言えてないんじゃないかなって時があって

なんでも言って。と伝えても
やっぱりどこか距離を感じて

でも、その距離は これからの一緒にいる時が解決してくれるんじゃないかなって。



けど…そうじゃない。
今は それじゃ駄目なんだ。


ねぇ大ちゃん。

思ってること教えてよ。





そして俺は 考えた。
どうしたらいいか。

ふと。俺の頭に浮かんだのは
いつかの、大ちゃんが俺に怒った時のこと。

…うん…あの大ちゃんは何て言うか…
普段温厚な人が怒るとこうなるんだって驚いて

でも
その時の大ちゃんは、痛いくらい 気持ちをぶつけてきて
そして、俺はあの時……








俺は

「馬鹿にしてんの?」

わざと 怒らす様な嫌な言い方をした。

大ちゃんの目なんて見れないし、わざと人を怒らせる様なことなんてしたことないから、そりゃぁ大根芝居もいいとこだったと思うけど

でもね。
俺が言ったこと。
言い方はあれだけど、俺の本音もあったんだよ。


そして
話してくれた大ちゃんの本音。

あぁ…こんなこと思ってたんだなって
俺のせいで嫌な思いさせちゃってたんだなって…
また泣かせちゃったって……

そりゃそうだよ…。俺が逆の立場だったら、大ちゃんが前の彼女に会いにいくなんて、絶対嫌だ。

それに…俺達のことだって、大ちゃんは真剣にぶつかってきてくれてた…


それでやっと俺は、自分の駄目さに気付いて…思い知って

なのに…それでも、こんな俺をすきだって言ってくれて

俺に泣く資格なんてない…のに…嬉しくて……




……ん?

なんかすっ飛ばしてない?



あれ?
俺、話したっけ?



……

っ話してない!!


うわ…っ!
なにやってんだよ俺!
何のために、彼女と会ってきたんだよ。

それに…大ちゃんは、すきって言ってくれたのに、俺、それに対して何も返してない!

もぉ!!馬鹿馬鹿馬鹿!!
俺の大馬鹿!!!



俺は、パンっ!と両手で自分の頬っぺたを叩いて

「大ちゃん!!」

俺のことを、目をまん丸くして見上げて、なぜかちょっとだけ身を引いた?大ちゃんへと近づき、視線を合わせる為に床に膝を付いた。


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