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きみがすき

第38章 *だいすき*

*大野*




ツンツン

ツンツンツン……


…はぁ

水槽の中で泳ぐ真っ青の小さな魚達は、いい加減 餌も何もくれない俺の指に見向きもしなくなった。





『相葉ちゃんのバーカ!』


今更だけど
……言い過ぎちゃったかな

ふいっ!と相葉ちゃんからの視線を遮断するようにあからさまに顔を背け、もう知らない!とばかりに、魚達にちょっかいを出した俺。


魚にしたら、良い迷惑

相葉ちゃんにとったら………




だって

だってさ

すごく恥ずかしいじゃん

だって

だって

俺…あんな大声だして、わんわん吠えて
結局泣いちゃって…


それって
ちょー恥ずかしいじゃん!


それに…!
まさかそれが相葉ちゃんの思惑通りなんて!



ねぇ俺間違ってる?
間違っちゃった??


そりゃ

そりゃぁ…

今となっては大人気無かったかなって…ちょっとくらいは思うけど


でも!
なにそれ?!ってなってもいいよね?
勢いで『詐欺だ!』とか『バーカ!』とか言っちゃったとしても悪くないよ ね?ね??

…って誰に聞いてんだろ俺…




……

でも

その お陰って言っていうのもなんだし、不服だけど…

相葉ちゃんが俺を怒らしてくれたお陰で
なんだか俺の心の中は、気持ちはとてもすっきりしている。


言いたいことが言えたからかな?

違う
言いたいことが言えたってのもあるだろうけど

相葉ちゃんが俺の気持ちを受け止めてくれた。からだ。


だからね。
怒ってるわけではないんだ。

あ、まぁさっきは、ビックリして思わず怒った風になっちゃったけど
ただ恥ずかしいのと、不貞腐れたような態度とっちゃったから…気まずくなっちゃって


ので


ツンツン…ツンツン(←継続中)




と、


パンっ!



相葉ちゃんの方から聞こえた弾けるような、何かを叩いたような音。


思わず、頬杖をついていた手から顔を上げて相葉ちゃんを見れば


そこには…

相「大ちゃん!!」

両方の頬っぺたを、赤くした相葉ちゃん。




え?
自分で叩いたの?

てか
それは赤くなるの?



そんな奇っ怪な行動をとった相葉ちゃんに
訳もわからず

なに?なに?なに??

と身を引き


ちょー真顔で俺の方へ近づき、目線を合わせてきた相葉ちゃんに


思わず身構えた。


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