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きみがすき

第7章 *ロク*




相「大野さん!ほんとにありがとう!」
「すっごい助かるよぉ!」
「絶対お礼するからっ!」


俺の近くに来る度に、お礼を言ってくる。
くしゃりと目尻に皺ができる笑顔。
なんだか俺まで自然と笑っちゃう。

変な奴。


あのあと「やっぱり助けて!」って言ってきた人。

相葉 雅紀

歳は聞いてないけど、きっと年下。



22:30にお客さんの予約が入ってるんだって。
やっぱりさっきまで、貸切りの飲み会だったらしい。
ほんとに時間は無くて、二人でテーブルの上の食器を運んで、レイアウトを戻して、床を掃いて、テーブル拭いて…。

…手伝うって言ったのは、確かに俺だけど、
容赦ないね。相葉さん…。

で、今、俺の目の前には大量の皿とグラス。
食器洗浄機はあるけど、ある程度汚れを落としてから入れないと駄目なんだってさ。
頑張れよ洗浄機…。

厨房って言うには小さい、なんて言うの?キッチン?まぁいいや、厨房は洗い物の山だけど、
なんとか店内は片付いた。

ほっとする暇もなく、予約してたお客さん。
その後、予約なしでのお客さんが二組。

決して広くはない店だけど、
これ一人で回すの大変じゃん。


そんな中、相葉さんはというと、
さっきまでの慌てようが嘘のように、

相「いつもありがとうございます!」
と、疲れを見せないアイドル級の笑顔と、
丁寧な対応。
お酒作って、料理作って、
忙しい筈なのに、テーブルへ行く度に
何かしらお客さんへ声をかけてる。

楽しそうなお客さんの笑い声。
相葉さん自身もすごく楽しそう。

『うん。さっきとは別人みたい。』


…でも、なんか今の笑顔もいいけど…
顔がくしゃってなる、あの笑顔の方がすきだなって思った。

ま、俺の個人的な意見だけど。

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