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第2章 ピュアな世界

『そか、こっち…店は君が?』
『…ソウタさん。院長でオーナー』
『そっか』

中々やり手なのか、あのオッサン
なんて少し感心しながら
ぎこちなくなる場にヤキモキした

そこへ院長が戻ってきた
ホッとしたような残念なような
複雑な気持ちになる

『あ…モコは』
『大丈夫。落ち着いてるよ』
『よかった…』

『よく気づいたねアイ。もし遅かったら
マズかったかもしれないから』
『…毎日みてるから』

少し和んだ所にドアがガタッと騒がしく開く
犬を抱えた老婆が血相を変えて
飛び込んできた
犬の足から血が出てる

『!?マツイのおばあちゃん…っ…ユメっ?!』

アイがすぐに反応する
老婆は医者のソウタさんでなく
顔なじみのアイに慌てて説明をした
帰りに誤って飛び出して事故にあったらしい

『大丈夫!…先生がすぐにみてくれるから!
先生?!』
アイがソウタさんをみた

『ああ…!急ごう』
アイがすぐに店のドアをロックして
病院側に老婆を促す
ソウタさんも同時に

『マツイさん。待ち合いで』

そう言うと同時にオレに目線でうったえる

え?オレも…?

おばあさんと待ち合いに向かうことに
そこにアイがやって来て犬を老婆から預かった
…手が…震えて見えた

『アイちゃん…~』
老婆が涙目で言う

『大丈夫だよ。先生きっと治してくれる
ユメも…頑張れるよね』

オレは呆気にとられて成す術もなかった
そして…やはりアイの手が震えて見える

なんて思う間に彼女は走って処置室へ向かった
シーンとする待ち合い室
すぐ隣にソウタさんとアイ…
犬のユメのいる処置室
シーンとしてるのと
オレたち以外の人がいないのとで
声も何も筒抜けだ

『先生…マナさんに…』
『ちょっとまって…』

診察してるようだった
マナ?って誰だ?
ばぁさんはカチコチに震えて聞こえてないみたいだし

『先生…手術ですか?だったら急いでマナさんに来てもらわないと…』

センセイ…
ソータサン…じゃないのか
仕事モード…ってか

『ん…骨折れてないな。傷口を縫合する』
『あたし…マナさんに電話してきますっ…』

『アイ…』
『…?…』
狼狽えてるような様子と
緊迫感が伝わってきた
こっちも冷や汗が出る

『マナがつかまらなかったらどうする?
つかまっても着くのはいつだ?』
『え…』

『アイ…助手入れ』
『は…?…な…ん…』

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