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Best name

第2章 ピュアな世界

…どっちかって言うと

オレ、アンタの激変ぶりにドン引いてるかも…
とは言えず。

まぁ真剣に仕事してるカオと言えば
そうなんだろう

隣のアイがソウタさんの陰になって
姿をとらえられない。

『あの、もしよければ~…』

ソウタさんが言いかけたとき

『う……。ン…ッ』



う?…

なんて、目を向ける頃には



ガターン!!!

…大きい音がして、床には人が二人。
倒れたのはアイ

そして、それを抱えるように
ソウタさんが支えてた。

あ…ナイスキャッチ…?じゃないか。
驚きつつオレも駆け寄る。

『~アイ~?…大丈夫か?しっかりしろ~』

ソウタさんが耳元で声をかける
特に驚いた様子も慌てもせずオレを見る。

『ゴメン。チョットいいか?』

オレは頷いて床にしゃがみ
代わりに彼女の身体を抱えるように支えた。

アイはオデコにびっしり汗をかいて青ざめていた。


場を離れたソウタさんがすぐに戻ってきた。
随分冷静だ
医者だからか。
アイの頬に触れて軽く叩く。パシッ…パシ。
口元にチョコレートみたいのを持っていく。

『アイ~?ホラ…』
『…』

アイはかすかに首を横に振る。

『ダメか~?そうか~…水は?飲めるか?』
『…』

同じように首を振った
彼女はグッタリとしたままだ。


『そうか…~少し注射するぞ?』
『…っ…っや…だ』


先ほどより強く拒否した。
ソウタさんは構わずに
注射器に薬を入れて準備している。
慣れた手つきで用意してアイの腕に消毒を施す。


『や…だ…』

『すぐに楽になるから
ちょっとチクっとするぞ?動くなよ~』

『っ…!』

一瞬顔を歪めたアイの腕を
消毒で揉んで絆創膏をすると

グタッとしたアイをオレの腕から軽々と抱き上げて先ほどの待ち合いのソファに寝かせた。

そしてオレをテーブル席に誘導する。



『アイ…無理させてすまなかったな』


目をとじているアイにささやくと
オレの方にやって来る。

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