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第3章 君の十色

『ま、アイルに聞いてみたら??』

の一言がくる

最近のソウタさんは
この一言がよく出る

オレが聞くことで答えないこと
流そうとすることには大抵こう言ってくる。


~…そのアイルとは全く平行線なんだよ
ほとんど喋ってもいない。

『リョウキ!もうひとつ教えとく
誕生日だ!アイツ来週
~本人はきっと忘れてるぞ♪』

『そ…ですか』


『まぁアレだ。単純なやつには単純に
色々聞いてみたら良いさ。~1時過ぎてる
アイツ散歩にでるぞ?』

ソウタさんが背中を押すようにオレを促して
~…オレはアイルのいる店の方へ行った


『おぅ…お疲れさま』
『…』

『わるいな。いつも仕事中に』
『べつに…』

『散歩?…ついていってイイか?』
『…?』

『マズイ?』
『…べつに』

この調子じゃぁナァ…~と少し途方に暮れながらもアイルについて出た
アイルが3頭の犬をひとりで引いて歩いていく

シンプルに…色々聞いてみる…か。


『メーワクじゃなかった…?』
『べつに』

『一人で…いつも大変じゃないの?3匹も』

〃べつに〃連打を覚悟で話し続ける
ヘタレるな!オレ(笑)

『一人のが…この子たちが落ち着くから』
『じゃぁ…』

『平気だよ』

〃ハイ〃というようにリードをひとつ
オレに向けてきた

『あ…えと』
『マロン。おとなしい子だから』

河原まで一緒に移動する


『たまに…一緒に行ってもいい?散歩』
『…?…べつに』

『なんで?』
『は…?』

初めてアイルが表情を少し崩した。
そりゃ…おかしな会話だからな(笑)


『~…基本、避けられてそうだから』

そのまんま聞いてみる
なるべくやましさを出さずに。

『べつ…に』

やっぱそれかよ。
まぁ、いいか。

『ルナが…』
『え?』

るな?…この間の走ってきた犬か。
今はアイルが引いている。

『ルナが…なついたから』
『?へぇ…そう』

『ルナが、初対面の人に
すり寄るの初めてだったから…。だから』


だからオレに
警戒心が少なかった…ってか?
…オイ?。




つまり…?





『~…犬にジャッジされたワケね、オレ』



ったく…。







と…



その時…






くるり…。






アイルが振り向いて






クスっと笑った




…笑った。初めて


ヤバイ。

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