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第3章 君の十色

あくまでもオレのイメージだが
アイルは人混みが好きそうにはみえない。

年相応の女の子が行きそうな街よりも
少し外れた落ち着いた所を
待ち合わせに指定したのは
良かったかもしれない。

週末なら尚更だ。


『モンダイは…』

スマホを片手にソファに寝転んだ。
アイルについてしまった〃ウソ〃
それだけは…

『ホントにしときたいよな…』


オトコが一人じゃ入りにくそうな…
できれば女の子の好きそうな店…

~~わからない。

大体の女は、どこそこに行きたいだの
アレが食べたいだの、そんなんだった。
今思えば楽だったな…。

その当日は…アイルの誕生日だ。

盛大にやろうか…
いや、それは押し付けがましいよな

フツーに…フツーにしておこう。


『滝川さん…デートですか、もしかして?』
『へ……?』

マヌケな声を出して振り返ると
新人OLのナナが立っていた。

『それ…』

オレのデスクのグルメガイドを指して言う。


…なにをしているオレ!?


それも仕事中にこんなもんを…
てか…いつの間に…。
けしからんぞオレ…色々と。

…重症だ。


『いや…べつに。仲間がね』

『ふふっ…そうですか。
あ、コレ ハンコお願いします!
それとこれ預かってきました!』

書類を手渡される。
ナナは明るくて天真爛漫
気取らない可愛い子だ。

『あぁ、ありがと。~…ねぇ
ナナちゃんていくつだっけ?』

『?~22ですけど』

アイルと同世代だ。
アイルくらいの年の子なら…こうだよなぁ
なんて思ってしまう。

『なにやっても楽しい時だろ?』

『失敗ばかりで毎日怒られっぱですけどね!~…どんなお店探してるんですか?』


『ぇ…いや…んー…ナナちゃんくらいの子って
どんな店行くの?』


ごまかせて…ないよなコレじゃ
墓穴だ。


『あたしは~…
なんでもよいと思いますけどねっ!
一緒にいるだけで楽しいじゃないですか?』

『~…彼氏いるんだ?(笑)』

ナナに微笑みかけた。


『あ…ぇと…ハイ』

照れて笑うナナは可愛かった。
そこへナナがスマホをだしてタッチする
手にはキレイにネイルアートが施されていた。


アイルは職業柄やらないのかも知れないが
目の前のナナとアイルをさりげに比べていた。

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