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第3章 君の十色

『ちょっと口コミ人気のお店
知ってますけど~…』

ナナが一枚の写真を見せてくれた。


『お店すっごく可愛いんですよ~
私の友達も…大半の女の子は
好きだと思いますよ!
パンケーキとか、ごはんもおいしくて…』

『へぇ…。肉料理?』



『お肉もあるけど、オムライスとか~
焼き料理がメインかな~…』

ついついくい入って見てナナに聞いた。


『彼は~チョット
恥ずかしそうにしてましたけど~…
入っちゃえばわりとゆったりでしたし~』

『いいね…』

少しやらしい考えだが…
オレのついたウソに
ピタッとハマるではないか?スバラシイ…!(笑)

ナナが店の名前と
だいたいの場所を教えてくれた。

『参考までに!教えてあげてくださいね
…お友達に?(笑)…それじゃ』

『あ、ナナちゃん!…ありがとね!』


『?…』
『あ、コレ!』


書類を片手に挙げる。
ナナはニッコリ笑ってパタパタと走って行った。

思いがけない助け船に
ようやく胸を撫で下ろした。

だけど内心ドキドキしたまま1週間を過ごした。




土曜…。アイル達の所には行かなかった。

緊張…不安?わけのわからない感情を
かき消してもかき消しても頭をはなれなかった。


アイルは本当に来てくれるだろうか…。


思えばお互いの連絡先も知らない。


日時指定で待ち合わせなんて
我ながら随分アナログなコトをしている。

知り合ってそう経ってないが…
全く知らない仲でもない。

けど…知らないことだらけなんだよな…。


~~カッコワリぃ…
28にもなって、なんだこのザマは。

チューボーかよ…。
いや、中坊のが進んでたりしてな

オレの無限の緊張には
子どものような無限のワクワクが孕んでいた。

明日アイルに会ったら何を話すだろう
アイルはどんな顔をするだろう

あぁ、バスケの試合よりバレーの試合より…
仕事の商談より…キンチョーしてる
断言できた。

『!!』

ケータイが鳴った

チッ、誰だよこんな日に…

少しイラッとして手を伸ばす
手にすると、知らない番号

仕方なく出た。

『はい…』

『あ…リョウキ、さんですか…?
私…フジサワです』

フジサワ…?

アイルだった

いろんな〃ナンデ?〃が交差して動揺した


『アイちゃん…か?うん?…どした』

とりあえずは答えて用件を聞く

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