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Best name

第1章 舞い降りた君

初めて…"会話"が成立した(笑)

『…ごゆっくり』

これまた初めて…気遣う言葉がかけられた。
それと同時に彼女は足早に立ち去る。

オレはポカンとしていた。


『アイ~!来週もお願い~!』

ミカが絶妙に空気をブチ壊してくれた。
まぁ、助かった。


『…ウソつかないなら』

振り向きもせずにアイは
また一言だけ…言い放って
カウンターの奥に消えた。

『~~あちゃ~!ダメかぁやっぱ~
やっちゃったナ~』

ミカが自分の頭をコツンとして苦笑いした。


『ウソ…?』

『ん~…皿洗いだから手伝ってって
呼んじゃったの(ハート)』



『…プ…ハハハっ!』

つい笑ってしまった。
理由という理由はない。
ただなんか…色々可笑しかった。


友達に頼まれて素直に手伝いに来る。
あんなぶっきらぼうそうな女が
最も不得意そうな接客させられて…
それも騙されて。

うさぎのカッコーしてしかたな~く
仕事してたと思うと、なんか笑えるというか
無愛想ささえも可愛いと思っ…。


いや…。


オレ…どうした…?
ヘンだ…。


『ふふっ!』

ミカも続けて笑う。
そしてオレの手からおしぼりをとって
拭いてくれる。


『て…ヤダ!大丈夫です?もーアイってば~…
拭いてきなさいよ~……ごめんなさい~』



…全く気付きもしなかったお前が何を言う…?
軽くミカに失笑しながら
名刺を一枚出して席を立とうとする。


『ミカちゃんゴメン。
ちょっとタバコ買ってくるから。
なにかあったらここ連絡して
~で…ゴメン、こいつ』


つぶれたワタルを差して言う。

『あ、うん。わかりました!』

ちょうど隣のテーブルの会計に呼ばれて
ミカが席を外した。


オレは店の外に出て外の空気を吸う。
向かいの自販機まで移動してタバコをふかした。


オレに続くように店から数組、客が出ていく。

そろそろワタル連れて帰らないとな。

フゥ~っと煙をはいた。

そこへ

店の裏手からか?女が一人出てきた。

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