テキストサイズ

Best name

第32章 最高の名前

待ち合い室のオレは

・・・試験結果を待つ受験生状態






ソワソワ・・・ソワソワ・・・。





そこへ診察を終えたアイルが

看護師に付き添われて出てきた…




泣いて・・・。








〃・・・・・え?〃






「お大事に…」





オレの前まで

アイルを連れてきた看護師が

オレに少し笑いかけて去る。





『~っ・・・ぅっ…』




泣きっぱなしのアイル。






『アイル・・・』







動揺しまくるオレ





オイ・・・オイオイ…



一体なんだ!?

アイル・・・どうしたってんだよ?



恐い思いでもしたのか!?



痛いことでもされたのか!?





それとも・・・なにか・・・悪いことが





『グズっ・・・ごめ……ん。

っ・・・嬉しくて・・・』





『へ・・・?』








『・・・・・・・8週だって』





『~~~っ・・・』





『ふふ・・・アト…

ちょっと・・・緊張しちゃった』




涙を拭いながら笑う

アイルの手をひいて

病院を出た。






喜びを・・・お互い隠せずに


少しはしゃいで…。






しばらくは、つわりがひどくて

本当に辛そうだったが

アイルは

泣き言ひとつ言わずに頑張っていた。







『アイル?レモン搾ったやつ飲むか?』



『わぁ…嬉しい。ありがとう』






一見、まだ頼りない小さな背中を

ゆっくりさする。






『ふふ・・・リョウキの手…落ち着く』



『~~~』



小さな身体が・・・一生懸命

少しずつ

母親になろうとしていた。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ