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馬と鹿の咄

第8章 一人暮らしの頃

【一人暮らしの頃】

 20代で一人暮らしをしていた頃の話でして、当時、まあまあ大食いだったんですよ。


 貧乏してたから、お金がなくて、ちょっとしたものでお腹を膨らまそうと考えてたわけですよ。


 で、スーパーで、増えるワカメってあるじゃないですか。


 あれをたっぷり使って、味噌汁を作って飯を食おうって、思ったんですな。


 まあ、一袋買いまして、味噌は出汁入りの味噌だったので、そのまま使えますな。


 おもいっきり食ってやろうと、小鍋に一袋全部入れまして、水入れてコトコト。


 その当時、僕は初めて増えるワカメを使ったんですよ。だから、増えるワカメの本気の破壊力をあなどってました。


 鍋からワカメが溢れました。


 鍋が小さすぎたってのもあるんですが、全部入れて、まさかここまでなるなんて、思わなかったんだよね。


 とりあえず、味噌を入れようとしたら、味噌……乗っただけ。




 汁気なし。




 お玉で、ワカメの表面に、味噌を乗せて、薄く伸ばして、塗っただけ。


 新しい料理が完成してました。



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