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馬と鹿の咄

第20章 また、伸ちゃんの話

【また、伸ちゃんの話】

 いつだったか、伸ちゃんが無職になってね。


 まあ、伸ちゃんてのは、私と同い年というか、同学年という、そんなん仲。


 ずっと、親父さんの経営する建設会社で働いてたんだけど、なんか、ちょっと会社に迷惑かけたようで、親父さんも怒ってね。


 ちなみに、親父さんは実の親父さんじゃない。お母さんの二人目の再婚相手。そう、再婚を二回してはるんですよ。このお母さんのエピソードもありますので、また機会みて書きます。


 で、37で職無しとなって、しばらくは好き勝手やってたが、本人は、身内だし、また許してくれるさって感じで気楽に構えてたんだけど、そう甘くはない。親父さんも、厳しく出たんだ。


 ま、僕がこいつの身内だったら、そうするな。


 嫁さんの連れ子って関係でも、実の息子以上に接してたんだ。見ててわかる。


 それまでは、一人暮らししてるマンションの家賃は半分出して、食事は実家で食わせてたんだ。


 それが、一切無し。


 伸ちゃんは、食事の心配はいらないから、今までもらった給料も好き勝手使ってた。


 携帯料金も払ってもらってたんだ。


 職を探すってことを、ようやく考えはじめたんだが、求職雑誌見るのが邪魔くさいらしく、ペラペラってめくっては、はぁ〜。


 その繰り返し。


 昔は、いろんなバイトしてたんだけど、バイトじゃダメなんだよね。ちゃんと就職がしたい。


 で、彼が考えたのは、ゲーム機やソフト、DVDを全部売るってことだった。



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