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馬と鹿の咄

第4章 やまさん、スーパー銭湯に行く

 そしたら、やまさん、黙っちゃって……うつむいて、拳を握ったんだ。


 いや……これ、ちょっとヤバいかも……。


 足を洗って十何年か、経ってるとはいえ、元ヤクザだよ。


 どうなるか、わかったもんじゃない。


 すると、やまさんは、カウンターの台を、ドンと叩いて……


「むっちゃ、頑張ったんやぞぉーー!!」


 涙流して訴えた。


「なん百万かけて、ここまでしたのに、なんで、600円の風呂に入れてくれんのだぁーー! あなたがたは鬼かねぇーー!!」


「ハイハイ、やまさん帰りましょ。おさがわせしました」


 連れて帰りました。


 車中、やまさんは泣きながら、「次いこか」て、めげないね。


 で、結局380円の大衆銭湯に。


 深い風呂と浅い風呂、電気風呂しかない銭湯だったが、やまさん「こういう風呂がええなぁ〜♪」て、すぐ、機嫌がなおりました。



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