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馬と鹿の咄

第4章 やまさん、スーパー銭湯に行く

【やまさん、スーパー銭湯に行く】

 借金してまで、背中の刺青を消した、やまさん。


 だけど、当時は、そんなさっぱりと、元の肌に戻るわけもなく、多少はボヤッとだけど、なんとなくわかるかわからないか程度までになった。


「まっつぁん(僕のアダ名)銭湯行こうぜ」


 仕事帰りに誘われまして、いつも、マンションのせまいユニットバスのシャワーだから、たまには風呂に入りたいと、車で20分のスーパー銭湯に。


 だが、入り口の前に……


“タトゥー、刺青の方は、ご遠慮願います”



 これは、どうだろう?


 やまさんは、なんてことはないと、関係ない顔で入っていった。


 まあ、素知らぬ顔して、受付カウンターを通ればバレないかと、考えてたんだよ。


 ところがやまさん。券売機で、入浴券を買う前に背中を見せて……


「これなら、いいでしょう♪」と、むっちゃ笑顔で迫っていった。


 まあ、一応は消してるわけだから、大丈夫かなと、思っていたら…で


「申し訳ございません、痕が残っておりますので、ご遠慮願います」


 あ……それでも、ダメ?


 やっぱ、遠目から見たら、普通の肌と違うわけで。


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