テキストサイズ

夢、魅せる。

第2章 奏多と私。

俺はかすみが好きだ。小さい頃から。十年ほど前、かすみがこの見世に売られてきたときに一目惚れした。そのときはまだまだガキだったけれど。__しっとりした艶やかな髪、小動物のようにぱっちりした瞳、透き通るような白さの肌。

やっぱり遊女なんだな、と思う。

俺にだって欲はある。いつ頃からか忘れたけれど、かすみと口づけをした。溶けそうなくらい柔らかかった。それから次第にその回数は増えていった。他のやつに犯されるのが嫌だったからかもしれない。水揚げする前にすれば、お客に文句を言われ、かすみも、俺も、見世から追い出される。いずれはなりたいと思うけれど、まだかすみと夜の関係になったことはない。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ