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夢、魅せる。

第1章 はじめまして、主様。

夜が明けた。私は菊屋右衛門を吉原大門へ送り出した。また来なんしね、と微笑みかけると、彼は私の頭を撫でた。

見世へ戻ると、奏多が待っていた。恥ずかしくて無視をしようとするも、

「かすみ」
「…」

名前を呼ばれてしまった。

「おかえり」
「…ただいま」
「お疲れ様」

そう言ってぎゅっと抱き締めてきた。

「か、奏多!?」
「大丈夫だから黙って」
「ちょ、っん…」

唇を塞がれて、抱き締められて、身動きがとれない。けれど奏多の口付けは優しかった。

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