テキストサイズ

校えっち(校閲)ガール

第36章 伊波杏奈の事情⑥

━━━━━『一文無しのあんたが浮気とはね』
マヤは裸の二人の前で仁王立ち。
『これには海よりも深い事情がありまして……』
(なんで帰ってきちゃったの?)
焦るばかりで言い訳のひとつも
見つからないアツシ。
『自宅警備員の分際でいい御身分ね。離婚して』
(呆れるわ。この馬鹿夫には)
意外と冷静だったのはケイコも
マヤと同じだった。
『アツシさんに奥様がいらっしゃったと
存じ上げなかったとはいえ申し訳ありません
でした』
(アツシも言ってくれれば良かったのに)
『あんたもこんな男と付き合ってもロクなこと
ないわよ』
『付き合うつもりなんて毛頭ございません。
私はただセックスを経験したかっただけ
ですから』



「杏奈……どうして……」

狼狽える未央。

「どうしてって聞かれてもね。依頼があった
だけの話」

冷たく突き放す言い方をした。

友人と片想いの相手を天秤に掛けるなら
答えは自ずと出てくる。

悠人が欲しい。

ごめん……未央。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ